バリキャリ乙女のイド端会議室

主に婚活、時々しごと。華麗なるバリキャリの脳内会議の一部始終。

アイスコーヒー戦争 バリキャリVS スーパー主婦

こんばんは、年間300日スーツで過ごす女、バリキャリ乙女のイシイド マキです。


職場で注意をするって難しいですね。
イシイドは上からも下からも怒られることはしょっちゅうなんですが、注意をすることは苦手です。
そんなわけで、本日のテーマは『注意をするときの心構え』です。


劣等感


あれは4年ほど前のことでしょうか。
私どものお店に新しいバイトさんがやってきました。
繁忙期のお茶出しさんです。
普段は男性営業マンも積極的にお茶出ししてくれますが、それでも手が回らず。
専門にバイトさんに入ってもらう必要があるのです。
主に女性ですが、これまでに様々な方にお手伝いいただきました。
10代の学生さんから普段はお勤めのダブルワーカーのOLさん、アラフォー世代の専業主婦の方…
今まではせいぜい同世代までのバイトさんだったのですが、今回は年上の主婦の方です。
姉というには上だけだけど、母と言うほど離れてもいない。
年上の女性社員がいたこともあったけれど、初めてのいわゆる『年上の部下』になるわけです。
(部下ではないけどね)
そんなわけで大丈夫かなぁと、正直、不安。


おまけに、採用面接の時にチラリとお見かけした姿はいかにもハイソサエティの奥様といった佇まい…
ウチのキッタナイ炊事場をみて


「まあぁっ!なんてキッチンなんでしょう…(くらり)」


なんて倒れられてはいかん。
必死に磨きましたよ、シンクを。
『今まで外で働いたことはございません』といった主婦然とした姿に、私が勝手に身構えてしまったのです。
完全に、家事できない独身女の劣等感だったと思います。


そしてそれは、良くも悪くも取り越し苦労になるわけですが。

 


バリキャリ VS スーパー主婦


*ここからはほぼ悪口だと思ってお読みください。
ニガテな方はとばしてね。


さて。
スーパー主婦(と思われた)の彼女は、良く言えば『おっとりとマイペース』であった。
分かりやすく悪口でいうと『要領が悪く頑固』だった。


どちらかというと、お客様の前よりも給湯室をキレイに保とうとする気持ちが強い方だった。
お茶出しを頼んでも給湯室を整えてから出ていかれる。
だから注文が複数組重なると明らかに速度が遅くなってヒヤヒヤするのだ。
我々としては速やかにお茶を提供してほしいのである。
バックヤードの美しさなど二の次なのだ。
職場において3S(整理・整頓・清掃)は大事だが、営業中は『早くて正確、スマイル0円』のファーストフードクオリティを望む。


そして彼女は突然独自のマイルールでモノを移動させる。


ストックがなくなったと思って発注すると別のところから大量に出てきたことがあった。
逆に在庫があると思ってダンボールを開けると…
と、数え出したらキリがないので、私が最も労力を割いた戦いを記してこの悪口を終わりにしようと思う。

 


アイスコーヒー戦争


私どもは飲食店ではないけれどドリンクメニューはなかなかの品揃えだったりします。
当然、給湯室にはお客様用の冷蔵庫が。
業務用の立派な冷蔵庫ではなく、リサイクルショップで買った中古品で、ひとり暮らし二人暮らし用の小さなものだ。
扉側に2リットルのペットボトルが4本立てて置ける。
ドリンクメニューは6種類なので2本は庫内に置くことになる。
開栓済みのものと交ざらないように未開栓のストックは冷蔵庫内に横に寝せておくのが暗黙のルールであった。
ここまでよろしいだろうか。


ある時、横に寝かせてあったアイスコーヒー達が立った。
アイスコーヒーは紙パックにプラスチックの注ぎ口がついたもので中身がどれだけ入っているかはわからない。
そのアイスコーヒーたちが立ち上がったのだ。
イシイドは若干収納量は減るけれど取り立てて問題はないと思い、そのままにしていた。
ところがたちどころに事件は起きた。


先に言ったように、ウチの男性陣はお茶出しも積極的にやってくれる。
だが、


「開いてるものから順番に使ーかお♪」


なんて気の利いた連中ではない。
手にとって中栓が開いていなければそのまま開封して使う。
かくして使いかけの紙パックが冷蔵庫内に3本4本5本とそそり立つこととなったのだ!


いやね、そんなにすぐに腐るものじゃないし、そこそこ回転はするものなのでどーでもいいっちゃどーでもいい。
だけど、なんとなくイヤじゃありません?


というわけで慌てて未開封のものを横に寝かせたのです。
ところが次に冷蔵庫を開けると


みんな起きてる…………!(しかもアイスティーまで…!)


こうして


寝せる起こす寝せる起こす寝せる起こす寝せる起こす


の無限バトルに突入。


普通。
自分のしたこと(アイスコーヒーを起こす)を直されたら「あら、私何か間違ってたかしら?」と思ったりしないものなのだろうか?
この愚痴を家族にぶちまけてみると、母も妹も


「そんなの教えてあげなきゃ分かるわけないじゃない、そのバイトさんがかわいそう」


と非難轟々であった。


うむ。
ワシが悪いのか。


若干納得がいかないものの、このブログでも常々『口に出して言わなきゃ伝わらない』とお伝えしている。
私の様なお局が注意をすると新人イジメに見られかねないので、極力『指導』はしないようにしているのだけど有言実行であるべきですよねー。
次の機会に勇気を振り絞って言ってみた。


「◯◯さん、色々工夫してくださってとっても助かるんですけど、アイスコーヒーは寝かせておいてほしいんです。
開封のものを立てておくと、男の人たちがどんどん開けちゃうので、ストックは寝かせておいてくださいね」

 


「あっ、そうなんですね。
私、全然知らなくて。
すみません」


ふぅ。
やっぱり話せばわかる。
これで、安泰…のはずだったのだけど。
そうは問屋が卸さないんだよね。
分かる?
勘のいい人なら分かっちゃうよね。


今度は開封済が寝ている!!!


かくして、


起こす寝せる起こす寝せる起こす寝せる起こす寝せる


の無限ループ。


何故だ。


何故こうなった。
具体的且つ簡潔にこちらの希望を伝え、明確な理由まで提示。
その上日頃の感謝までつけ加えているのに何故じゃ。


頼む。
一度で分かってくれ。

 


終戦


彼女の名誉のために言っておくと、決してダメな人だったということではない。
率先して職場を良くしようとしてくれていたのだから。
単調になりがちな家事に工夫を加えていくことは主婦としては当然で大事なことに違いない。
家庭のことであれば、全てを自由にしてもいい。
だけどここは職場で、いろんな人が関わる場所だ。
自分ひとりの思いでルールを変えてはいけないだろう。


そして私も学んだ。


『普通わかるでしょ』


『普通』はわからないものなのだ。
だからわかってくれる人はとても察する力が強くて特別に優秀な人だということだ。


『一度言ったらできるでしょ』


『一度』じゃできないのですよ。
何度でも言わなきゃいけないものなのだ。
そして一度でできる人もやっぱりとても優秀な人だということなのだ。


当たり前じゃない。


もちろん自分が注意をされた側であれば、できる限り相手の意図を汲み、一度で直すように努力しなければいけない。
だけど注意する側であるなら、一度でなんとかしようなんて甘い考えは捨てた方がいい。
その方が精神的にはずっと楽チンだ。

 


文句は言ったが助けられていた。
私も彼女のことが好きだったし、他のメンバーとも上手くいっていたと思う。


この度、家庭の事情で辞められることになったので、この戦いの記念として記すことにいたしました。


大変お世話になりました。
また遊びに来てくださいね。
本当に、お疲れさまでした。