こんばんは、年間300日スーツで過ごす女(育休中)、バリキャリ乙女のイシイド マキです。
今回も引き続き無痛分娩について。
無痛分娩にまつわるモンダイについて考察してみます。
無痛分娩とは
無痛分娩(むつうぶんべん、英: labor analgesia)とは、麻酔を用いて痛みを緩和しながら分娩(経膣分娩)を行うことである。麻酔は一般的に硬膜外麻酔。日本ではいまだ少数派であるが、欧米では無痛分娩が一般的である。専門医がいて設備が整った施設で行えば、自然分娩と比較してリスクが高いわけではない。しかし、日本では深刻な麻酔科医不足が続いており、産科にまでなかなか回せない状況が続いている。
Wikipediaより
ということで無痛分娩とは麻酔を使ったお産の方法のひとつです。
硬膜外麻酔というのは脊椎のところにカテーテルを通し麻酔を注入。
お産の痛みをここでブロックし、伝わらないようにします。
そのためお産の痛みは感じないけど下半身に力は入れられる、ある意味無双状態になるわけです。
さて、引用にもあるように日本ではまだまだ少数派です。
無痛分娩の全体に占める割合はなんと5.3%。
アメリカ41.3%フランスにおいては65.4%とかなりの開きがあります。
日本で無痛分娩が普及していないのには大きく二つの理由があります。
まず第一に医療体制が日本と欧米では異なるという点。
第二に日本人には精神的なブレーキがあるという点。
欧米でのお産は大きな病院に集約されているため、常駐の産科医と麻酔科医が幅広い時間で対応できるのです。
一方、日本は大病院だけでなく小さなクリニックや産院など出産に関わる施設が点在しており、その全てで麻酔科医が常駐することは難しくなります。
そのため無痛分娩のできる病院、時間が限られてきて、しかも都心に集中しているとなると普及は難しくなってしまうということなのです。
精神的ブレーキ
さて、精神的ブレーキのお話の前に、無痛分娩のメリットについてお話します。
無痛分娩のメリットは以下の通り。
痛みが少ない(ので、精神的にも楽)
疲労が抑えられる
疲労の回復が早い
特に私は年齢はもとより、普段から全く運動してないインドア派でしたから、出産後に若いママさんたちと同じように動くことはできないだろうなと思っていました。
実際に、産後は様々な体調のトラブルが押し寄せてくるので減らせる負担は1ミリでも減らした方がいい。
その分、1秒でも長く笑顔を見せてあげられるんじゃないかと思うのです。
それから個人的には、前編でも書きましたが、非常に冷静にお産に向き合うことができたというのはとても大きかったと思います。
自分が主体でお産に臨んだという実感は自信に繋がったと感じています。
無痛分娩の不安
さて、続いて無痛分娩の不安についてお答えしていきます。
①費用はどのくらいかかる?
メリットは充分分かっていても「でもぉ、お高いんでしょう?」となると考えちゃいますよね。
相場としては大体10万円程度と思われます。
私の通った産婦人科では、予定で10万円、予定外で12万円でした。
確かにお安くはないです…!
出産にかかる費用の平均が40~60万円ほど。
(都道府県による)
そのうち健康保険から出産一時金として一児あたり42万円が支払われるため、直接支払制度を利用すれば差額のお支払いですむので多少は負担が軽く感じるかも…いや、あんまり変わらないか。
費用の負担もブレーキの一端を担っていると言えるでしょう。
②実は結構痛いってウワサも…
無痛というと全く痛みなくと思われがちですがそんなことはありません。
麻酔が投入されるまでは痛いし、麻酔が切れたあとも痛いです。
産中のみ無痛で、産前産後は一般のお産と変わりません。
それから病院によってはあえて痛みを残す方法をとるところもあるようです。
その場合は『和痛分娩』といって痛みを和らげるお産になります。
無痛なのに痛い…そのウワサはおそらくバルーンの挿入時の痛みではないかと。
バルーンとは風船のように膨らむ医療機器で、出口の開きが遅いときに使用します。
無痛分娩だけで使用されるわけではないようですが、まぁ、今まで絶対に開いちゃいけない扉をこじ開けるんだからそりゃ痛いよね。
場合によっては麻酔を使用する前にバルーンの処置をすることもあるので「すごく痛いらしい」というウワサになるわけです。
そもそも無痛分娩は計画無痛分娩であることがほとんど。
計画分娩とは事前に出産日を決めてその日に出産することです。
これは日本のお産独特の方法で、麻酔科医が常駐していない日本の病院で無痛分娩するための工夫なのです。
元々の出産予定日よりも早い日程で計画するので、カラダの準備が整ってなければこじ開けるしかないわけで。
痛いよねー。
私はたまたま計画日よりも早く産気づき、開く速度も早かったのでバルーンは使用せずにすみました。
バルーンの使用は赤ちゃんとお母さんのタイミング次第だと思います。
③本当に安全なの?
えーと、これはたぶん無痛分娩について調べると2017年に起こった死亡事故が出てくると思うんですが、かなり大きく報道されたので『無痛分娩は危険』という印象になっているのではないかなと思います。
よく読んでいただくと二重に医療事故が起こったようで、救えた命なのでは?と思うと気の毒で仕方ありません。
硬膜外麻酔自体はお産以外の手術でも使用されることもあり特別な処置ではないとのことです。
それでも麻酔科医の技術によるところが大きいとのことで、病院選びがキモになりそうです。
これは病院が無痛分娩に対して消極的でないか、評判はどうか(口コミ)という下調べが効果的だと思います。
ブレーキの正体
さて、以上の不安を解消できたとしてまだ残るブレーキは『痛い思いをした方が愛情が増す』『無痛分娩なんて妊婦が楽をしたいだけ』というお産根性論です。
ハッキリ言ってナンセンス。
『お腹を痛めた子』という言い回しがありますけどね、実用日本語表現辞典では
陣痛を経験し、出産すること。
としています。
くどいようだけど無痛でも麻酔を打つまでは普通に陣痛は痛いし産んだ後も痛いのよ。
麻酔が効いてたって数分でつるんっと生まれてくる訳はなく、長時間に渡って全力でいきまにゃならんので決して楽ではない。
無痛だって立派に『お腹を痛めた子』なんですよ。
そもそも『痛い思いをしたから』なんて愛情に条件をつけるのは、『痛い思い』という損失を『愛情』という言葉で埋めようとしてるだけ。
愛情は損得の問題ではないと思います。
それから、この台詞を吐いたのが誰かってことも重要ですよね。
絶対に出産を経験することのない男性が言うのであれば、それはあくまでも他人事だと思ってるからです。
もしも自分が「痛い思いをしてこそ一人前よ」と言われて麻酔なしで抜歯されそうになったら必死で抵抗するでしょう。
あなたのことを他人事だと思ってるような人の意見を聞く必要はないですよね。
ですが、その発言を父親になる夫が言うのであれば、残念ですがあなたの出産は彼にとってやっぱり他人事で、生まれてからも育児の協力は得られにくいだろうと想像できます。
また、出産を経験したはずの女性の親族友人からもそういった発言があることもあります。
その場合も気にしなくていいから。
それって『自分が経験してない何か良さそうなもの』をあなたが経験談することに対するやっかみに過ぎません。
あなたのお産はあなたのもの。
そんなやっかみに引きずられることなく、あなたの望むお産をしていただきたいと思います。
さて。
今回体験記を書くにあたって。
本当は自分のことは自分だけの思い出にしておこうと思っておりました。
ところが出産前に目にした出産体験記は、痛かったり辛かったり病気を併発したりとセンセーショナルなものばかり。
そういうものを目にする度に気持ちが滅入っていきました。
ですから誰もがアッと驚くような体験ではない私の体験は誰かの気持ちを楽にすることができるんじゃないか、そう思って記事にすることにしました。
楽になっていただければ幸いです