バリキャリ乙女のイド端会議室

主に婚活、時々しごと。華麗なるバリキャリの脳内会議の一部始終。

その男、Rito 【読書感想文】島本理生 著『ファーストラヴ』

こんばんは、年間300日スーツで過ごす女、バリキャリ乙女のイシイド マキです。


本日は読書感想文と、あの人を解析いたします。

 


あの人とは


あの人、とは。
はてなブログにて『りとブログ』を公開されていますりと(id:rito-jh)さんです。
私がこうして取り上げるのも畏れ多い方ですね。
ジュリアちゃんを始め超絶美少女お絵描きやオリジナル漫画『グランピレパ物語』など説明無用のクリエイターさんです。
おまけに社会人としてお仕事しているにも関わらず、数々の書評やゲームレビューをかなりのハイペースで公開。
そんでもって家族が一番大事なイクメン愛妻家という婚活女子垂涎のパーフェクトブロガーさんなのです!


そんなりとさんがブログで取り上げる本は本当に面白く、あまりの素晴らしさにりとさんを『読書ソムリエ』とお呼びして全幅の信頼を寄せている訳なんですが、そのご紹介の島本理生著『ファーストラヴ』がこれまた面白かったので、少しだけそのレビューを。
りとさんが男性目線で読んだ感想を述べていらっしゃいましたので、ワタクシは女性目線でお伝えしたいと思います。

 


島本理生『ファーストラヴ』


あらすじ


「動機はあなたたちが見つけてください」


父親殺しの疑いで拘束された女子大生、聖山環菜。
主人公・臨床心理士の真壁由紀は、挑発的とも取れるその発言で一躍話題となったこの事件のルポルタージュを執筆することになる。
環菜と面会を重ねるうちに、自らの過去とも対峙することになり…

 


ここから物語のネタバレもありますので、ミステリーとして読みたい未読の方はこの項を跳ばしてお読みください。


全体的にテンポよくグイグイ引き込まれていく感覚が気持ち良く、後味も優しい小説です。
私がこの物語で注目したのはこの二点。

 


作者の女性観


この物語ではヒロイン二人の人格形成に大きく影響を及ぼしているのが『女性への性的搾取』の問題です。
性被害…とまで言っていいのかわかりませんが幼少期から『男性から向けられる視線』が二人にとって暗くて大きな影を落としています。
ですが、これは何も二人が異性にとって
で、これは二人が相似形の関係であるために必要な設定ではあると思うのですが、ことごとく登場する女性キャラクターにもこの枷をかけている。
彼女たちの母親たち、そして冒頭に登場するカウンセリングの患者、迦葉の事務所で働く女性…
ここまで徹底的に重ねる必要があるのかと思うほどに。


その一方で由紀に関わる男性キャラクターのカッコいいことと言ったら!
すべてを包み込む夫我聞、祖母からの理不尽を見抜いている息子正親、不器用な愛情を捧げ続ける迦葉、ビジネスパートナーとして奔走する辻さん、さん。
みーんな、カッコいいんですよ、まるで由紀を守るナイトのように。


もちろん『どうしようもない男ども』も登場しますけどね。
この違いはなんだろう。
作者自身、女性でありながら女性に対する嫌悪感のようなものを感じたのは私だけでしょうか?

 


母と娘の


最近『毒親』というジャンルが注目されています。
子供に害をなす親。
二人のヒロインの父親は誰がどう見ても問題のある人物なのですが、私は母親との関係の方が気になりました。
娘がかわいくて仕方がない、というお父さんは世の中にたくさんいらっしゃいますが、本来、父親と娘というものは性的に最も遠い存在になります。
父親と娘は夫婦にはなれませんよね。
それは、もしも両者の間に子供ができた場合、血が濃いことで遺伝的な不都合が表れやすいから。
倫理的にはもちろん生物的にも望ましくない。
娘さんが思春期になって「パパ嫌い」と言いだすのは、本能的に自然なことなんだそうですよ。
そうすると一番近しい肉親というのは同姓の親、娘にとっては母親になります。
由紀と環菜は共に母親が毒親であったという不幸でも共通しています。
母親が救うべき場面で救われなかった。
この事件の芽はここにあるような気がします。


幸い(?)主人公の由紀は男の子を産んでいて、母から娘へという負の連鎖は避けることができました。
ですが母娘の問題というのは『母から娘へ』だけでなく、『娘から母へ』も解消されなければやはり終わらないのです。
由紀は母として環菜を、環菜は実の母の代わりに由紀を、共に代理で解消することで救われた、本当の意味で事件は解決されたのだと思います。


作者の、女性を嫌悪しながら、それでも救いを与えずにはいられない、そんな複雑な心理を見たように感じ『女性って業が深い』なーんて知ったようなことを考えてしまったりしました。


さて。
男性目線、女性目線で見るとひとつの物語がこんな風に違った物語になるのです。
ぜひ、りとさんの記事と読み比べて見てくださいね。

 

rito.gameha.com


外さない理由


改めまして、りとさんです。
りとさんが紹介する本はことごとく面白い。
その理由を知りたいな、と思っていたらこんな記事を書いてくださいました。

rito.gameha.com


りとさん曰く。


「読みづらいな」「内容が頭に入ってこないな」と思った本は「縁がなかった」と思ってすぐ読むのをやめてしまいます。
大事なのは「夢中で本を読み終えた体験をたくさん積むこと」だと思うんです。


(中略)


そんな感じで「気になった本をとりあえず読んでみる」というのがぼくのスタンスです。
なので、実は「ハズレだなぁ」と感じる本に出会うこともあります。
ブログでは面白かった本しか感想書いてなくて、感想書かなかったり、途中で読むのをやめた本もあります。


と、いうことなんですが…
私も同様なんですよ。

面白そうなものはためらいなく手にいれるし、読書の途中で読むのをやめてもOK派なんですが、ここ最近はどうも読みきれる本が少ない。
りとさんオススメ本は相変わらず面白く一気読みできるのに、自分で選んだ本はなかなか読みきることができないんですよね。


ナゼだ?

 

同じことをしているのになぜなんだこの違い。


そして、あることに気がついた。

りとさんはブクマやTwitterでも、老若男女様々な人たちと楽しそうに交流されている姿を良くお見かけする。
私が『人たらし』と言ったのはそういうところだ。

もちろん、ご挨拶だけしてそれっきりの人だっているのだろう。
私が思うに、りとさんは特別に誰とでも仲良くできる人ということではない。
たぶん、りとさんは『自分と仲良くできる人を見抜く力』が優れているに違いない。
それが現実でも物語の主人公でも。


自分に合うものを良く分かっているから失敗が少ない。
自分をよく知っている人、ということなんだろう。
 

失敗の多い私は、まず自分をよく知ることから始めるべきなのかもしれない。

反省。

 

さぁ、そんな魅力いっぱいのりとワールドにあなたも足を踏み入れてみませんか?

rito.gameha.com