バリキャリ乙女のイド端会議室

主に婚活、時々しごと。華麗なるバリキャリの脳内会議の一部始終。

香りは媚薬となりうるか

こんばんは、年間300日スーツで過ごす女、バリキャリ乙女のイシイド マキです。


本日はブログ界の遊び場、3000文字チャレンジに挑戦いたします。
今回のお題は『フレグランス』ということで…


最近、妙に鼻が利くんです。
始業前と終業後。
上司が吸うタバコの匂いが気疎くてしかたがない。
以前は商談中にお客さまがタバコを吸いだしても気にならなかったのに。
髪に服に付いた臭いが気になって気になって。
一体いつからだろう?
こうして『香り』について思いを巡らせてみることにしたのです。

 


『フレグランス』とは


『フレグランス』の定義は『良い香り』『香りを楽しむ商品の総称』なんだって。


私は『香り』という話題が出ると平貞文のエピソードを思い出します。
平安時代歌人平貞文(たいらのさだふみ・さだふん)通称平中(へいちゅう)
超イケメンのモテ男が「どうしても忘れられない女がいる」と密かに語ったという逸話です。


女と見れば誰かれ構わず口説きまくるイロオトコ平中。
本院侍従(ほんいんのじじゅう)という美人人妻に言い寄るのですが、この方には全く相手にされません。
歌を贈っても無視されるので「せめて『見た』とだけでも返事をしてくれ」と訴えると平中の手紙を切って貼って返してきたり、嵐の夜に押しかけていってあと一歩のところで逃げられたり。
普段モテるだけにプライドがズッタズタだったんでしょうね。
やっぱり追うより追わせろなのよ。
このままでは諦めるに諦められないと、とんでもない行動に出ます。


本院侍従の『おまる』の中身を見てやれ!


その発想、変態ですね。
当時、高貴な身分の方々はお部屋から出ず、専用の箱になさっておりました。
それを従者に盗ってこさせるわけです。
なんとかおまるの強奪に成功した平中はドギモを抜かれます。


めっっっちゃくちゃいい香り………!


中には黒っぽい固形のものとか黄色い液体か入っているんだけどこの世のものとは思えないほど芳しい香りがいたします。
本院侍従は平中がそういう行動にでるんじゃないかと先読みして、お香の原料でそれっぽいものをそれっぽく作らせていたのです。
もう会うこともないけれど、一枚も二枚も上手の本院侍従を『忘れられない女』と思うことになりましたとさ。


教科書にも掲載された(たぶん)お話なので、ご存じのかたも多いでしょう。
平中と侍従のトムとジェリー的な追っかけっこと、下世話なエピソードが人気のお話です。


さて。
このお話を知ったとき、私は『自分の香りというものは、受動的に嗅がれるのではない、能動的に嗅がせるものなのだ』と気づいたのです。
高校二年生の頃ですよ。
オマセだね。


『フレグランス』商品は、もちろん自分も楽しみますが、香水もルームフレグランスや洗剤、柔軟剤など、他人に香りを嗅がせるのが目的です。


最近は男性でも「香水が好きでつけてます」という方は多いですよね。
現代ニッポンでも『香り楽しむ』文化が浸透してきたということなんでしょう。
ところが、「他人がつけている香水の匂いが好き」というカミングアウトはあまり聞かないような気がします。


それはつまり、『いい香りは好きだけど他人から強制されて嗅がされる匂いは好きではない』ということなのではないでしょうか。


他人の香水好きをアピールする人は匂いフェチか重度のドM、ということなのかもしれませんね。

 


香水のつけすぎ


『香水』をつけるということは、ある程度自分の匂いを強要することになり、それが強ければ強いほど反発を受けるもの。
分かりそうなものなのに、絶えませんスメハラ(スメル・ハラスメント)問題。
なぜ人は香水をつけすぎてしまうのでしょうか。


ざっと見渡してみても「あえて香水をたくさんつけています」という声はないようです。
つまり、香水をたくさんつけている人は自分がつけすぎであることに気づいていないケースがほとんどなのです。
鼻ってなれちゃいますからね。
知らず知らず重ねてつけるようになってしまうのです。

 


香水をつけ過ぎている人のイメージ


香水をつけ過ぎている人のイメージをネット検索で拾ってみました。


香水はその人の魅力(性的な意味合いが強い)を周囲にアピールする目的である。
だから香水がキツい女子は彼氏がいなく、周囲にエサを撒きオトコをおびき寄せている…(要約)


えーと。
我々は昆虫か?
医学的、科学的根拠はなく経験上なのかイメージだけで語っているのかよくわかりませんがたぶんこういうの書いてる人って殿方さまだよね。
女子側としては、香水ごときで寄ってくるような殿方さまは本気の恋のお相手としては相当不安だ。
そもそも、若い婦女子で香水がキッツい人ってあんまりいない。
どちらかというと妙齢の紳士ご婦人の方が強くないだろうか。
であれば、そういう方々が異性を釣りだそうという意図で強く香水を振りかけているとはちょっと考えにくい。
単純に鼻がバカになっていて、つけすぎてるだけのように思える。


さらには2018年12月に『はてな匿名ダイアリー』に『香水をつける人は9割は自己中』という書き込みがあり物議を醸したんだとか。
現在は投稿は削除されたようなので前後の文脈が確認できませんが、おそらく『香水をつけている人の9割』ではなく『香水をつけ過ぎている人の9割』といわれれば納得がいくせような気がいたします。
自分が香水をつけ過ぎているという事実を客観的に見られていないわけですから。


また、『香水をつけるという行為』は遊びの要素が強く、葬式や就職試験などでは不真面目と取られかねませんし、高級レストランや寿司屋でも料理の味(香り)を損ねるといって嫌がられます。


香水のつけ過ぎは自己中心的というとトゲがありますが、状況判断や危機管理という点で『あまい』人物だと判定されてしまっても仕方がないのかもしれませんね。

 


香水は媚薬となりうるか


では、やっぱり香水はつけない方がいいのか。
そんなことはありません。


先日お話していたお客さま。
まだ二十歳そこそこのお若い男性のお客さまです。
商談が盛り上がってふっと身を乗り出したらふわりと香水の香りが。
テーブルを挟んだ位置では香らず、身を乗り出すほど近づいて初めて気づいたのです。
香りもその方に似合った爽やかなものです。

 


ドキドキしてしまいました。

 


もちろん、そこから何か始まったりすることは全くないのですが 笑
お若いのにステキだなー、なんて思ったりしたのです。
香りを粋に着こなせると、それだけで株が上がるんですね。


んで。
私もちょっと触発されまして、久しぶりに香水をつけてみました。
元々、骨の髄までこの香りが染み込んじゃってるんじゃないかしらってくらいのお気に入りの香水があったんです。
途中、リニューアルしたりして微妙に香りは変わってるんだけど、10年以上ずっと使い続けていました。


去年、ジョンマスターオーガニックにドハマりしてエッセンシャルオイル系の香りに傾倒していったのと、日本国内での取り扱いが終了したため『もしかしたらなくなるかもしれない』という不安からつけ惜しみしてるうちに香水離れをしてたんです。


というわけで一年ぶりくらいにワンプッシュ。

 


……………


むほっ


ぅぐっ、むほむほむほっっ

 


あ、あれ?
おかしいな。
周囲の人たちも気づかないくらい、うすーくつけてたので、たぶん香害ではなかったはずなのに。


これはまさか、香水離れをしてた間に正しい嗅覚を取り戻してた…?
だから上司のタバコの匂いに敏感になったのかも。


いいことなんだけど、ちょっぴり切ない。


香りを媚薬としたいなら、つけ焼き刃じゃダメみたい。
アラフォー イシイド、また一から修行のやり直しです。