バリキャリ乙女のイド端会議室

主に婚活、時々しごと。華麗なるバリキャリの脳内会議の一部始終。

誘惑は二者択一で

こんばんは、年間300日スーツで過ごす女、バリキャリイシイドです。

 

人生とは、『選択』の連続です。
生涯の伴侶を選ぶのも選択、今日のお昼ごはんを決めるのも選択です。
大きなものから小さなものまで、日々繰り返す『選択』
でも、あなたのその『選択』は、本当にあなたが選んだものですか?

 

 

やじきたの結末は二通り

 

以前、ご紹介いたしました『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』
このお芝居、実はラストが二通り用意されています。


どちらの結末になるかはその日のお客さまの拍手次第。

物語も終盤、歌舞伎座で起きた連続殺人事件の容疑者は二人に絞られました。
そこで。

 

『どっちを取り調べまSHOW!』(セリフはうろ覚えなので雰囲気だけお楽しみください)

 

金ピカ衣装のやじさんきたさんが『日本一の司会者』のタスキを胸に、電飾ギラギラのセットに登場します。

 

「さあ、Aの人物を取り調べた方がいいと思うお客さま、拍手!」

 

パチパチ~

 

「ではBの容疑者を取り調べた方がいいと思う方、拍手!」

 

パチパチ~(若干多い?)

 

「おや、珍しいね、いつもはAの方が多いんだけどね」

 

「アタシらはどっちでもいいんだけど、Bの方だとスタッフさんが大変なんだよ、次のシーンの準備の時間が短いから」

 

「Bに決まった瞬間、ダダダダダダダダーって走ってくからねぇ」

 

「では、もう一度、Aの人!」

 

パチパチパチパチ!

 

「続いてBの人!!」

 

パチパチパチパチ!

 

「Bだね?Bでいいね?」

 

パチパチパチパチ!

 

「ではBの容疑者を取り調べまSHOW!」

 

…てな感じで、決まります。

 

 

後の方が選ばれやすい?

 

私が観たのはシネマ歌舞伎でしたから、結末は決まっちゃってるんですが、実際の舞台ではAもBも上演されていたとのこと。

 

でも、ホント?

ホントにホント、拍手の大きさで決めてたの?
本当は最初から決まってたんじゃないの?
正直、拍手の大きさって司会者のさじ加減でどうにでもなっちゃうものだから。

映画を観ながらそんな感想が頭をよぎったのです。
たぶん、

 

あの市川猿之助だよ!?ガチで当日決めてるに決まってんじゃんっ

 

という無言の信頼があって成り立つ演出だとは思うので、デキレースはなしでやってたと思う。
だけど、ビミョーに誘導してるような発言はあったし、そもそも人間というものは後に提示されたものを選びやすいのだ。
これを『親密効果』というのだそうです。


特に今回みたいに『両者を競わせる』(どちらの拍手が多いか)のような場面では、後攻のBは先に出てきたAに被せた方が話の流れとしても盛り上がる。
だからもし、『今日の演目』があらかじめ決まっているなら、選ばせたい方を後に紹介すればよい。
Aを選ばせたいなら、Bから紹介すればいいんじゃないだろうか?
こういうささやかで地道な誘導は、もしかしたら、あったのかもしれない。

 

 

断られにくい誘い方

 

映画を観ながら、ふとこんなことを思い出しました。
せっかくデートにお誘いしてもなかなか「YES」と言ってもらえない、そんなあなたに『断られにくい誘い方』というものがあります。
恋愛のマニュアル本や交渉術で使い古されたテグチではあるのですが…

 

 

誘惑は二者択一で

 

ちょっといい感じになったお相手に

 

「お食事に行きませんか?」

 

「いえ、けっこうです」

 

NOと言われてしまったらオシマイです。
ですから、

 

「もし食事に行くとしたら、イタリアンにする?中華にする?」

 

「うーん、イタリアンかなぁ」

 

「じゃ、予約しとくね。いつにしよう?」

 

という感じで二者択一ではじめると「YES」がもらいやすい。
もし、ここで断られても

 

「前にイタリアンが好きって言ってたよね?」

 

と日を改めてチャレンジするきっかけになったりします。

 

ポイントは『断られるかも』という不安を自ら感じないこと。
「もし行くなら…」と仮定の話を装ってはいますが、これは完全に『行く前提』
本当は『断られること』を想定していない『根拠のない自信』からくるただのゴリ押しです。
だから、ウッカリ不安を覗かせることでアッサリ断られます。
そして断られたらすぐ引き下がること。
ここでグズグズとねばると、しつこい、粘着質、勘違い野郎の烙印を押されます。

 

再チャレンジはしてもいい。

だけど機の流れが変わるまでサッと引いて待ちましょう。

 

 

『ドア・イン・ザ・フェイス』と『フット・イン・ザ・ドア』

 

他にもこんな方法があります。
デートに誘いたいお相手に、あなたはどんな風に声をかけますか?

 

「お茶しませんか?」

 

では、ちと弱い。

 

「今から遊園地に行かない?」

 

「今から?それはちょっと…」

 

「じゃ、そこのカフェでお茶しない?それならいいでしょ」

 

てな感じ。

『ドア・イン・ザ・フェイス』
価格交渉なんかでよく使われるテクニックです。
先に断られる前提でちょっと無理目なお誘いをして、そのあと軽いお願いをする。
元々、軽いお願いの方が本命なのだけど、先のお願いが大きすぎると、後のお願いが小さく見えてハードルが下がります。
更に、先にお断りをしている罪悪感を刺激するので、よりOKをもらいやすくなるのです。

ただし、この方法は一度は断られるわけで、一度たりとも断られたら立ち直れないというミニマムハートの持ち主さんには不向きかもしれません。

 

逆に小さなお願いをOKしてもらったら次の大きなお願いもきいてもらいやすくなる。
これを『フット・イン・ザ・ドア』といいます。
例えば、

 

「地域に保育園を増やす署名を集めています。お願いできませんか?」

 

「署名くらいいいですよ」

 

「ありがとうございます。
保育園ができましたら、ご支援に感謝しましてお名前を記念碑に刻ませていただきます。
もしよろしければ、一口500円から寄付金を募っておりますが…」

 

詐欺感満載な例になってしまいましたが、こんな感じ。
ひとつお願いをきいてしまうと次から断りにくくなってしまうこと、よくありますよね。
ひとつお願いをきいてしまうことで

『自分にとってこの人は大事な人なのだ(だってこの私がわざわざお願いをきいてあげたんだもん)』

という気持ちになるのだそうです。
YESを言わせることで好意まで獲得してしまう一石二鳥のテクニックです。

 

さて、この二つのテクニックは

 

NO→YES
YES→YES

 

という過程の違いはあります。
本来は同格のものを比較検討のうえ選択というのが正しい二者択一なはずですが、選ばせたい選択肢の(良くも悪くも)引き立て役になる選択肢を用意している点で同様のテクニックといってよさそうです。

 

 

偽りのジレンマ

 

さて、こういったテクニックは『いつもイマイチうまくいかない』というあなた様には是非お試しいただきたいのだけれど、逆に悪用する輩もいるのです。

 

ネットで知り合った殿方さま。
初デートで飲みに行って、ついうっかり終電を逃してしまって困った…
そんな時に、

 

「どうする?今からホテルをさがす?
それとも、ウチに来る?」

 

これね、ナンパ師さんからしたらパーフェクトクェスチョンなんじゃないでしょうか?

 

終電も逃したような時間に、今から夜の街を宿を探してウロウロするのはしんどい。
そして『ホテル』ということばの響きから生々しく連想されてしまうものに抵抗があってしんどい。
それに引き換えおうちなら、サッと帰れるし始発まで少しお邪魔するだけだから、とハードルが下がる。
しかも自宅なら無料。
選ばせたい方を後から提案しているのだ。

 

だけどちょっと待って。

 

本当に本当に本っっ当に、その選択肢しかないの?

 

どれほど手痛い出費でも、タクシーで帰ることだってできる。
マン喫、ネカフェ、ファミレス、コンビニだってイートインスペースがありますよね。
緊急事態ですもの、始発を待たせていただくのに申し訳なく思う必要なんてないのです。

 

なのに『選択肢はお泊まりするしかない』
これはテクニックの悪用でしかありません。

 

こういった極端に片寄った、もしくは理不尽な選択を『偽りのジレンマ』といいます。

カルトや詐欺師がよく使う手口といえば分かりやすいでしょう。

 

「この壺を買わなければ不幸になる」

 

壺なんて買わなくても不幸にはなりません。

私は二者択一を迫られたとき、それ以外の選択肢はないか、一瞬でも考えるように心がけています。

 

 

二者択一を多様する相手にはご注意を

 

二者択一のメリットは

 

  • 選択肢が少ないので決断が早い
  • ひとつの選択肢に自分の希望を混ぜ込むことができる

 

です。

 

婚活や恋愛がうまくいかない理由に、実は『決まっていかない』ことがあげられます。


デートの日取りが決まらない、行く場所が決まらない、付き合うかどうか決まらない。


グズグズと先送りにしているうちに、忘れてしまったり面倒になったり疎遠になっていくのです。
時間をかけることはマイナス以外の何者でもありません。

 

そして、自分の意見を提示することはリーダーシップを示すことにもなります。
『自分で決めたい』と言っていても『引っ張っていってほしい』気持ちがないわけではありません。
いつもいつも「どこに行きたい?何したい?」とお相手に意見を聞くばかりではお相手も疲れてしまいます。


だから関係を詰めていく間は二者択一をどんどん利用するべきです。


ただし、関係が安定したら必ず

 

「あなたはどうしたい?」

 

と、お相手の意見を尊重する姿勢を見せましょう。
お相手の意見がなければまた二者択一に戻ればいい。


逆に、常に二者択一を迫ってくるようなら、その人はあなたを支配したいだけなのかもしれない

 

もしも大きな『選択』することになったら。

 

その『選択』は本当にあなたの意思で選んだものなのか、少し立ち止まってみてはいかがでしょうか…?