こんばんは、年間300日スーツで過ごす女、乙女イシイドです。
すみません、まだまだ引っ張ります、御園座ネタ。
前回断念した御園小町をレポートいたします。
夜の来店がオススメ
御園小町とは。
御園座1階にあります(劇場は2階以上にあります)売店&飲食スペースのことです。
前回はあまりに混んでいたため、まともに見てまわれず。
今回こそのリベンジです。
公演前はやっぱり激混みで、お弁当を買うのがやっと。
こりゃ、終演後に勝負だ!
絶対に一杯飲んでから帰ってやる!
終演後、感動を胸に定式幕を撮りに行ったり、
お手洗いで時間を潰したり。
あら、かわい。
ロビーが空いてきた頃を見計らって御園小町に突入。
いざ!
あ、あれ?
スッカスカ~
はい。
公演後はびっくりするくらい空いてました。
よく考えたらみなさん、幕間でお弁当を食べちゃってるだろうし、4時間の長丁場ですもの。
そりゃ、さっさと帰るわな。
ワインを飲んでみた
御園小町のイートインスペースでは、お酒も飲めます。
クラフトビール飲み比べセットからワイン、日本酒。
おつまみだってあるんだぞ。
イシイドの、この日のミッションはワインとソーセージでドヤツイートをすること。
グラスワインは300円、500円、800円、と三種類。
(ワインメニューは毎月変わるようです。6月から1,000円のグラスワインも追加されたようです。ここでのご紹介は5月22日現在です。ゆかねば!)
分かりやすい!
せっかくなので800円のヤツを注文しよう。
店舗正面はフードの注文カウンターですが、その横にアルコール専門の注文カウンターがあります。
「あの~すいませーん」
「はははいっ」
カウンターのおじさまに、なぜかめちゃめちゃびっくりされたイシイド。
ついこちらもテンパってしまって、うっかり500円のグラスワインを注文してしまいました orz
ソーセージを待つ間に、ごくり。
あら、おいし。
『ジェイコブス・クリーク わ』
Amazonでは星高めなくせに結構酷評されておりました。
和食に合うように作られたシリーズなんですって。
そしてやっときました、名古屋市北区黒川にあります名古屋 黒川 「KÖLN」のソーセージ。
ソーセージ|名古屋 北区 黒川の本格ドイツ製法自家製ハム・ソーセージ工房 【KOLN ケルン】
ベーコンやドイツ製法のソーセージのお店です。
こちらのドイツソーセージを3種の中から選べます。
私はチョリソーをチョイス。
うん、美味しい。
単にレンチンしただけのような気がするけど、そこは仕方ない。
ここでこんなに美味しいのだから、これは本家で食べてみたい。
結局、800円のグラスワインもいただくことに。
『ジャン・ド・ヴィラレ ブリュット』
香りがいい!
甘くて優しい香り。
お味は の方が好きだけど、香りは断然こっち!
以前、別のところで飲み比べコースみたいなのを試したことがあったけど、正直違いがよくわからなかったことがありました。
これだけ特徴がハッキリしてると飲んだ甲斐がありますね。
御園小町は夜、終演後がオススメです。
ドヤァ!
リベンジ♪ pic.twitter.com/XFy7Eykd5z
— イシイド マキ (@comotenasi) 2018年5月22日
忘れられないひと言
そんなわけでして。
少しアルコールのまわった頭で、昼間とは違うさみしい店内をぼんやりと眺めていると、なんだかやるせない気持ちになってしまいました。
わが家では(というか、ウチの母は)旅行に行ったり、お芝居を観たときに、少しいい食事をしたがる。
それはお金があるとか贅沢が好きとかということではなく、この思い出を少しでも良い思い出として残したいから、だと思う。
私も今日、歌舞伎を観たこの気持ちを、ただ電車に揺られて帰っただけではどこかに落っことしてきてしまう。
そんな気がするから、劇場に近いこの場所で、この気持ちを少し抱きしめてから帰りたかったのだ。
決して贅沢なお店ではないけれど、ちょっとだけ非日常を。
みんなもそうだと、思ってた。
そういうものだと、思っていた。
だからこんなに空いている店内で、
なんだかなぁ、みんな夢から覚めるの早すぎるよ。
少し残念な気持ちになったのだ。
それはあなたが独身で、お金も時間も心も体も自由だから。
そう言われてしまうとぐうの音もでない。
だけど、世の主婦たちは、そんなにも家庭に縛られているのか。
いや、もちろん。
単に交通機関の問題なのかもしれないし、ここではなく、他のお店で楽しんでいるのかもしれない。
長い芝居だから疲れたのかもしれない。
ただ、なんとなく。
やるせない気持ちになったのだ。
『しあわせな人生ですね』
ほとんど音の聞こえないテレビでは、試合中に相手チームの選手に怪我をさせたスポーツ選手の謝罪会見を映していた。
その真面目で、たぶん今、世界で一番本気で何かを伝えようとしている真摯な姿を見て、ふと『彼』の言葉を思い出した。
『やりたいことをみんなやってきたんだね』
彼は、私がネットの婚活をしていた時に出会った人だった。
顔写真もなく、アイコンはデフォルトの影絵。
プロフィールもさほど目立つことはなく、印象に残るのは、身長180cm、国家公務員ということ。
メッセージのやり取りが始まってすぐ、
『職業柄、あまりマメにやり取りができませんが、それでもいいですか?』
と尋ねられた。
「いいですか?」と聞かれて「嫌です」とはなかなか言えない。
『あなたのペースでいいですよ』
と、お答えしておいた。
筆無精、連絡無精をカミングアウトする人は二通りだ。
ひとつは本当にメッセージのやり取りが苦手で申し訳ないと思っている人。
(でも、改善する気は薄い)
そしてもうひとつは、女の子が面倒くさいことを言ったり、実物が可愛くなかったときにフェードアウトするための予防線だ。
『彼』はどちらとも判断できなかった。
はっきり言って、国家公務員だろうがなんだろうがプライベートな連絡が1週間も取れないなんて意味がわからない。
代議士の秘書でもしているのか?
もちろん、そうではない。
気がつけば二週間、なんてこともあった。
そうかと思えば、福岡に出張だとかで、ノリノリでチャット状態になったこともある。
ある意味コミュ障なのかもしれないけれど、女性を楽しませる会話ができないわけではない。
時々、思い出したようにやり取りをする。
よくわからない人。
そんな人だった。
『しあわせな人生ですね』
ある時、『彼』から突然そんなメッセージが届いた。
なんのことかわからずメッセージを遡ると、5日前に私の趣味やプライベートでの活動を簡単に説明したことへの返事だったようだ。
あの頃。
私にはなにもなかった。
結婚もせず、もちろん子どももいない。
他人に自慢できるようなものは何もなく、ただ自分の年輪を増やしていっただけだと思っていた。
仕事仕事に追われて、自分の目指したところとは、テンで離れたところに立っている。
そんな私に、『しあわせな人生』なんて。
『彼』は、負け組の私のどこに『しあわせな人生』を見たのか。
やっぱり意味がわからない。
『どういうことですか?』
『いや、やりたいことをみんなやってきたんだね、と思って』
身動きが取れなかった。
確かに、私の『一番やりたいこと』は手放してしまった。
どんなに貧乏になろうと血ヘドを吐くぐらい苦しくて地ベタを這いつくばったとしてもそれでもやりたかったことを、あっさり手放してしまったのは私だ。
だけど、私は。
それ以外のやりたいことは、何だかんだでみんなやってきていた。
望んだ場所に立っていないことを、仕事のせい、親のせい、恋人のせいにして。
結果、自分の選択だったとわかったつもりになったところで、やっぱり何かのせいにしていた。
確かに私は何も持っていなかった。
望んだ場所にも立っていない。
だけどそこには、積み重ねて積み重ねて、何層にもなった、とても居心地のいい足場ができていた。
私はそこには立っていたのだ。
もしかしたら、『彼』は私の好き放題、我が儘放題を単に揶揄しただけだったのかもしれない。
それでも『彼』は教えてくれた。
何も手にしていなくても、何も得ていないということではないと。
画面は次のニュースに移っていた。
なぜ、あの大学生を見て『彼』を思い出したのかは謎だ。
真面目そう→国家公務員
酔っぱらいの連想だから、そんな程度のことかもしれない。
だけどもしも。
こうして酔いどれて、余計なお世話をぶつくさ言っている私を見たら
『相変わらずですね』
と、『彼』はあきれるのだろう。
うん。
相変わらず、好き放題やってるよ。
あなたのおかげで気がつけたから。
こうして、御園小町の片隅で。
最後のひとくちを飲み干したのでした。
ああ、またレポートにならなかった…orz